井の中の蛙大海を知らず――歇后语の奥深さ
「井の中の蛙大海を知らず」ということわざを聞いたことがあると思います。狭い世界に閉じこもっているものには、広い視野や考え方は理解できない、つまり「世間知らず・ひとりよがり」という意味です。元々は中国からきた言葉です。中国語では「井底之蛙(jǐng dǐ zhī wā)」といい、意味も同様、「目光短浅(mù guāng duǎn qiǎn)」視野が狭く未来の展望が見えないという意味です。
「ことわざ」よりもユニークな表現
日本では「ことわざ」として使われますが、中国にはさらにユニークな表現方法があります。それが「歇后语(xiē hòu yǔ)」です。
「なぞかけ」のように前半句と後半句で構成され、前半句で状況を提示し、後半句で意味やオチを比喩や掛け言葉で示します。直接的な言い方を避け、ユーモアや婉曲表現で伝えるのが特徴です。
例えば、
孔夫子搬家(kǒng fū zǐ bān jiā) ——尽是书(jìn shì shū)
「孔夫子」は「孔子」という思想家、教育家で日本でも有名ですね。「搬家」は引っ越し、「尽是书」は全部本だ、という意味です。つまり孔子がお引越ししたら、荷物は本ばかり。これだけ聞くと「は?」となりますが、実は「书」の発音が、負けるという意味の「输」と同じなので、それを掛けて「失敗や負けてばかり」と言いたいのです。負けてばかり、なんて直接言いたくないので、婉曲表現でユーモアを交えて表現しているのです。
例文:「我们的球队这些年来是孔夫子搬家啊。」(訳:我々のチームはここ数年孔子のお引越しだよ)
後半句も全部いう時もあれば、聞き手が答える場合もあります。
ちなみに孔子は博識で立派な人というアイコンなので、他にも孔子の入る「歇后语」がいくつもあります。
「歇后语」は直接言いたくないことを遠回しに表現するものが多いので後半句はネガティブな言葉が多いですね。
他にもこんな「歇后语」
以下、「歇后语」を少しだけご紹介します。一つ一つ説明すると上述の孔子の話のように長くなるので、答え(オチ)だけ日本語訳を付けます。
- 孔夫子拜师——不耻下问(kǒng fū zǐ bài shī—bù chǐ xià wèn)(謙虚で探求心がある)
- 兔子的尾巴——长不了的(tù zi de wěi ba—cháng bù liǎo de)(今の状況は長くは続かない)
- 外甥打灯笼——照旧(舅)(wài shēng dǎ dēng long—zhào jiù)(古いまま、昔から変わらない)
- 竹篮打水——一场空(zhú lán dǎ shuǐ—yì chǎng kōng)(苦労が水の泡)
- 财神爷要饭——装穷(cái shén yé yào fàn—zhuāng qióng)(貧乏を装う、虚偽行為)
歇后语は文化の窓口
「歇后语」を知ると、単に中国語の語彙が増えるだけでなく、中国の歴史や文化背景、価値観にも触れることができます。
学んでいくうちに、日常会話のユーモアや言葉遊びも理解できるようになり、中国語の面白さが倍増します。
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