雨はホアララと降る ~中国語のオノマトペの世界~

「ざあざあ」「しとしと」「ワンワン」。
日本語は「オノマトペ大国」と呼ばれるほど、擬音語や擬態語が豊かな言語です。
中国語にも、日本語ほど多くはないですが、オノマトペはもちろん存在します。ただ、日本語とは少し違った音や漢字が使われることもあり、比べてみると面白い発見がたくさんあります。
今回は、そんな中国語のオノマトペをいくつかご紹介します。
雨は「ホアララ」と降る?
まずは、雨の音から。
中国語で、雨が勢いよく降る様子は、こんなふうに表現できます。
雨哗啦啦地下着。
(Yǔ huālālā de xiàzhe.)
(雨がザーザー降っている。)
「哗啦啦(huālālā/ホアララ)」は、水が勢いよく流れる音や、雨が激しく降る様子などを表します。
中国語の「h」は、日本語の「ハ行」よりも、喉の奥のほうで息を強く出します。それが雨の勢いを表現している感じがしませんか?
では、「しとしと」降る雨はどうでしょう?
外面淅淅沥沥地下着小雨。
(Wàimiàn xīxīlìlì de xiàzhe xiǎoyǔ.)
(外では小雨がしとしと降っている。)
「淅淅沥沥(xīxīlìlì/シシリリ)」は、雨が細かく降り続く様子を表します。「xi」という音が細かく小さいものを連想させます。「細(xì)」や「小(xiǎo)」も「xi」が入っていますね。日本語も「細」は「し」、「小」は「しょう」ですから、音の響きとイメージが似ている気がします。
「ハックション!」は中国語でなんという?
くしゃみの音も、言語によって表現が違います。中国では 「阿嚏!(ātì/アーティ)」 とくしゃみをします。「ti」の音で唾が飛ぶ様子を感じませんか?
ちなみに「くしゃみをする」は「打喷嚏(dǎ pēnti)」といいます。
動物の鳴き声も違う?
動物の鳴き声は、言語によって表現が違うことがあります。中国語のオノマトペには、「口へん(口)」の付いた漢字がよく使われるという特徴があります。口から出る音や、動物の鳴き声などを表すときによく見られます。
例えば、猫の鳴き声。中国人には「ミャオ」と聞こえ、同じ音の「苗(miáo)」に口へんを付けて「喵(miāo)」という字を使います。漢字にも注目するのも面白いです。
では、ほかの動物の鳴き声も見てみましょう。
犬:狗(gǒu)— 汪汪(wāngwāng)
猫:猫(māo)— 喵喵(miāomiāo)
牛:牛(niú)— 哞哞(mōumōu)
羊:羊(yáng)— 咩咩(miēmiē)
ニワトリ:公鸡(gōngjī)— 喔喔(wōwō)
アヒル:鸭子(yāzi)— 嘎嘎(gāgā)
ひよこ:小鸡(xiǎojī)— 叽叽(jījī)
カエル:青蛙(qīngwā)— 呱呱(guāguā)
同じ動物の声を聞いているはずなのに、文字にすると、国や言語で表現も変わってしまうのが面白いですね。
漫画に出てくる音を中国語で表すと?
漫画は、まさにオノマトペの宝庫。絵があるので場面を想像しやすく、セリフだけでなく効果音にも注目すれば、楽しみながら中国語の語彙を増やせ、身近で楽しい教材ともなりますね。
「アハハ!」→ 哈哈哈(hāhāhā)
ハハハ! と笑う声。中国語でも、同じ音を繰り返して笑い声を表現します。
「呵呵呵(hēhēhē)」だと嘲笑や冷笑、
「嘻嘻嘻(xīxīxī)」だと「ウフフ」や「クスクス」のような笑い声を表します。
ネットでは222(èrèrèr)で笑いを表すこともあります。
「カチャ!」「ポキッ!」→ 咔嚓!(kāchā)
硬いものが当たったり、スイッチの音や枝が折れる音、カメラのシャッター音などを表します。
「ドン!」「バン!」→ 砰!(pēng)
銃声や、何かが強くぶつかったり、ドアが勢いよく閉まったりする場面などで使われる、大きな音の表現です。例えばこんな風に使います。
砰的一声,门关上了。
(Pēng de yì shēng, mén guān shàng le.)
(バタンという音を立てて、ドアが閉まった。)
「ピンポーン!」→ 叮咚(dīngdōng)
チャイムや呼び鈴の音です。英語にも「ding-dong」という表現がありますね。
「ドンドンドン!」→ 咚咚咚(dōng dōng dōng)
ドアをたたく音や、重いものが落ちた音、何かが響く音などを表します。音を繰り返すことで、リズムや勢いが伝わってきます。「咕咚(gūdōng/ゴトン)」「扑咚(pūdōng/ドボン、ボチャン)」のような使い方もします。
「ドキドキ!」→ 怦怦(pēng pēng)
心臓が高鳴る音です。「心怦怦直跳(xīn pēng pēng zhí tiào)」といえば、心臓がドキドキする様子を表せます。
そういえば、上海の幼児向けテレビ番組で《欢乐蹦蹦跳(Huānlè bèngbèngtiào)》という番組があります。日本の「おかあさんといっしょ」のような番組です。
「蹦蹦(bèngbèng)」は、「ぴょんぴょん」という意味。どちらも「跳ねる」時に使います。
「怦怦(pēngpēng/ポンポン)」が「ドキドキ」、「蹦蹦(bèngbèng/ボンボン)」が「ぴょんぴょん」と、濁音と半濁音のイメージが逆な気がして、日本人の感覚と異なっていて興味深いです。
「シーン……」→ 静(jìng)など
「シーン……」は日本独特の表現で、ぴったり一致する決まった表現があるわけではありません。場面に応じて、例えば次のような言葉が使われます。
「静―」や、「静悄悄(jìngqiāoqiāo)」、「鸦雀无声(yāquè wúshēng)」など、静けさを表す言葉に置き換えたりします。
オノマトペから知る、言葉の面白さ
今回紹介した他にも、さまざまな中国語オノマトペがあります。
同じ音や様子を表す言葉でも、感じ方の違いで日本語と中国語で表現が異なるって面白いですね。
なお、ここでは中国語の発音をピンインで表記しています。でも、オノマトペは、実際に声に出すとき、音を伸ばしたり、勢いをつけたりして、感情や状況を生き生きと表現することがあります。ただし、学習するときは基本の発音(声調)も大切にしましょう。
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